この記事でわかること
- 就労移行支援を使い始めるまでの6つのステップが全部わかる
- 受給者証の申請から交付までどのくらい時間がかかるかがわかる
- 申請に必要な書類・窓口・手続きの具体的な流れ
- 「何から手をつければいいか」が明確になり、今日から動き出せる
読了時間の目安: 約12〜15分
はじめに
「就労移行支援って気になっているけど、手続きが複雑そうで踏み出せない」
そう思っている方は、かなり多いです。私が支援員として相談を受けていても、「何から始めればいいかわからなくて、ずっと調べてはやめて…を繰り返していた」という声をよく聞きます。
自分が「働けなくなった側」を経験しているからこそ、「手続きの壁」で前に進めない気持ちはよくわかります。この記事では、利用を検討し始めた段階から通所が始まるまでの流れを、現場の目線で正直に・ステップごとに解説します。

全体の流れ(ステップ概要)
就労移行支援の利用開始までは、おおよそ以下の6ステップで進みます。全体でSTEP 1から通所開始(STEP 5)まで、早い人で1か月程度、状況によっては2〜3か月かかることもあります。
| ステップ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 情報収集・相談 | 1〜2週間 |
| STEP 2 | 見学・体験利用 | 1〜2週間 |
| STEP 3 | 受給者証の申請 | 2〜4週間(審査期間) |
| STEP 4 | 事業所との契約 | 1〜2日 |
| STEP 5 | 通所開始・アセスメント | 最初の1〜2か月 |
| STEP 6 | 訓練〜就職活動〜定着支援 | 平均1〜2年 |
ポイント:STEP 2(見学)とSTEP 3(受給者証申請)は並行して進められます。申請の審査期間が長いため、見学が終わり次第すぐに申請手続きを始めるのが最短ルートです。
各ステップの詳細解説
STEP 1:情報収集・相談
まず「相談する」だけでいい。申し込みは後でOKです。
最初の一歩は情報収集と相談です。この段階では「利用を決める」必要はまったくありません。相談できる主な窓口は2つです。
① 市区町村の障がい福祉窓口
お住まいの市区町村役所に設置されています。就労移行支援の制度説明、受給者証の申請方法、近くの事業所の一覧などを教えてもらえます。予約なしで相談できる場合も多く、制度についての中立的な情報が得られます。
② 就労移行支援事業所への直接問い合わせ
事業所のホームページや電話から、直接見学・相談の予約ができます。制度の説明から受給者証の申請サポートまで一緒にやってくれる事業所が多く、初めての方にはこちらの方がハードルが低いかもしれません。
③ 相談支援専門員への相談
地域の相談支援事業所にいる「相談支援専門員」に相談することもできます。複数の事業所の情報を中立的に教えてもらえるため、どこに決めたらいいかわからない方に向いています。
STEP 2:見学・体験利用
事業所は「1か所だけ見て決める」のは避けてください。見学でチェックすべき主なポイントは以下の通りです。
- 通っている人の雰囲気・年齢層は自分に合っているか
- スタッフの対応は丁寧か・質問に具体的に答えてくれるか
- プログラムの内容が自分の目標(IT就職など)に合っているか
- 事業所の立地・通いやすさ(体調が悪い日でも通える距離か)
- オンライン通所・在宅訓練に対応しているか
体験利用は1〜5日程度が一般的です。できれば2〜3か所は見学・体験することを強くお勧めします。見学だけして利用しないことになっても、まったく失礼ではありません。
STEP 3:受給者証の申請【最重要・早めに動くこと】
ここが最も時間のかかる関門です。見学と並行して動き始めてください。
就労移行支援は「障がい福祉サービス」なので、利用するには受給者証(障がい福祉サービス受給者証)が必要です。
申請に必要な主な書類:
| 書類 | 補足 |
|---|---|
| 障がい者手帳(身体・精神・療育のいずれか) | 手帳がない場合は医師の診断書・意見書で代替できる場合あり |
| 印鑑・本人確認書類 | 運転免許証・マイナンバーカード等 |
| マイナンバーがわかるもの | マイナンバーカード or 通知カード |
| 医師の意見書(自治体によって必要) | 主治医に依頼。記載に1〜2週間かかることがある |
申請から交付までの流れ:
- 市区町村の障がい福祉窓口に申請書を提出
- 市区町村による認定調査(担当者が自宅や事業所で面談することがある)
- 支給決定・受給者証の交付(審査期間:おおよそ2〜4週間)
審査中に利用する事業所が決まっている場合、事業所のスタッフが申請手続きをサポートしてくれることが多いです。一人で進めようとせず、積極的に頼りましょう。
STEP 4:事業所との契約・利用開始手続き
受給者証が届いたら、利用する事業所と正式に契約を結びます。
契約時に確認・署名する主な書類:
- 重要事項説明書(事業所のサービス内容・料金・規則の説明)
- 個別支援計画(自分の目標・訓練内容のプラン)
- 利用契約書
手続き自体は1〜2時間程度で完了します。わからない点はその場で遠慮なく質問してください。
利用料について:原則1割負担ですが、前年度の世帯収入によって上限額が設定されており、多くの方は月額0円で利用できます。収入が一定以下の場合は自己負担がゼロになります。
STEP 5:通所開始・アセスメント期間
最初の1〜2か月は「慣れる」ことが最大の仕事です。
いきなり週5日フル通所できる方は多くありません。週1〜2日から始めて徐々に増やしていくのが一般的です。「少ない日数で始めたら恥ずかしい」と思う必要はまったくなく、自分のペースで体を慣らしていくことが、その後の2年間を安定して過ごすための基礎になります。
アセスメント期間にやること:
- 担当支援員との定期面談で、強み・課題・希望を整理する
- グループワーク・個別訓練に少しずつ参加してみる
- 通所リズムをつくる(起床・食事・移動の習慣化)
- 個別支援計画を支援員と一緒に作成・確認する
この時期は「早く就職を目指さなければ」と焦る必要はありません。土台を固める期間と位置づけてください。
STEP 6:訓練〜就職活動〜定着支援
通所開始から就職まで:平均1〜2年。
アセスメント期間を終えると、本格的な訓練フェーズに入ります。IT就職を目指す方であれば、プログラミング・Webデザイン・データ分析などのスキル習得が中心になります。
就職活動フェーズでは、支援員が以下をサポートしてくれます。
- 履歴書・職務経歴書の作成・添削
- 面接練習(模擬面接・フィードバック)
- 求人情報の収集・応募先の絞り込み
- 企業との連絡・面接日程の調整
- 就職後の職場定着支援(最低6か月)
IT就職を目指す方の事業所選びについては、以下の記事も参考にしてください。

よくある質問(FAQ)
Q: 障がい者手帳がなくても利用できますか?
利用できる場合があります。医師の診断書や意見書があれば、手帳なしでも受給者証の申請が通るケースがあります。まずはお住まいの市区町村窓口か、利用を検討している事業所に相談してみてください。
Q: 申請してから通所開始まで、どのくらいかかりますか?
見学・体験から受給者証の交付まで含めると、早くて1か月、平均的には2〜3か月かかることが多いです。「来月から通いたい」と思ったらすぐに動き始めることが重要です。見学とSTEP 3の申請準備を並行して進めると最短で動けます。
Q: 見学だけして利用しないことになっても失礼じゃないですか?
まったく失礼ではありません。自分に合った場所を選ぶことが最優先なので、気兼ねなく複数の事業所を見学してください。事業所側も見学・体験の段階でのお断りには慣れています。
Q: 在職中・休職中でも申請できますか?
在職中・休職中でも見学や相談は可能です。ただし、就労移行支援の本来の対象は「現在就労していない方」のため、退職・休職後に利用を開始するケースが一般的です。休職中から準備を始めておくと、退職後すぐに動き出せます。
Q: 費用はどのくらいかかりますか?
前年度の世帯収入によって異なりますが、多くの方(世帯収入が一定以下の場合)は自己負担0円で利用できます。月額上限は最大37,200円ですが、実際に上限まで負担する方は少数です。交通費は原則自己負担となりますので、事業所の立地も考慮に入れてください。
Q: 受給者証の申請と並行して事業所見学をしていいですか?
むしろそうすることをお勧めします。受給者証の審査に2〜4週間かかるため、見学と並行して申請を進めることで全体のスケジュールを短縮できます。申請手続きは利用予定の事業所スタッフがサポートしてくれる場合がほとんどです。
まとめ
- 通所開始まで早くて1か月・平均2〜3か月かかるため、気になったら早めに動くことが大事
- 受給者証の申請が最大のボトルネック。事業所の見学と並行して申請準備を進めるのがベスト
- 事業所は複数見学してから決める。自分に合う場所を選ぶことが、その後の2年間の質を決める
- 手続きは一人で抱え込まず、事業所スタッフに頼ることを遠慮しなくていい


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