この記事でわかること
- 就労移行支援でプログラミングが学べるかどうかの正直な答え
- 学べる言語・スキルの種類と、学べない領域
- IT特化型事業所と一般型事業所の実際の違い
- プログラミング訓練がある事業所の選び方(3つのチェックポイント)
- おすすめ事業所3選の比較
- 未経験からIT就職した利用者の実例
読了時間の目安: 約12〜15分
はじめに
「就労移行支援でプログラミングを学びたいけど、本当に学べるの?」
このご相談、現場でもよくいただきます。そして正直に言うと、「事業所によって全然違う」というのが答えです。
私はもともとバックエンドエンジニアとして働いていました。適応障がいを経験したのち、今は就労移行支援の支援員として働いています。ITの実務経験と支援の現場、両方の視点からできるだけ正直に情報をお伝えします。
「プログラミングが学べる」と書いてあっても、実態は月1回のExcel研修だけ、という事業所も存在します。この記事を読めば、そういった事業所を見抜く目が養えるようになります。
就労移行支援でプログラミングは学べるか?(正直な回答)
結論:学べる事業所は存在するが、数は少なく、レベルの差が大きい。
就労移行支援は、障がいのある方が一般就労を目指すための訓練・就職支援サービスです。最大2年間利用できます。
ただし、就労移行支援の事業所にはカリキュラムの内容に法律上の縛りがありません。「プログラミング訓練を実施しなければならない」という規定はなく、何を教えるかは各事業所が自由に決められます。
そのため、事業所は大きく三極化しています。
- IT特化型事業所:Python・Webデザイン・AWSなど実践的なカリキュラムを持つ
- IT名目だけの事業所:Wordのタイピング練習をIT訓練と称している
- 一般型事業所:プログラミングは一切やらない(それが悪いわけではない)
「プログラミングで就職したい」という明確な目標があるなら、IT特化型事業所を選ぶことが前提条件になります。
学べるプログラミング言語・スキルの種類
プログラミング言語
| 言語 | 特徴 | 習得難易度 |
|---|---|---|
| Python | AI・データ分析・自動化。求人も多い | 中 |
| JavaScript | Web開発の基本。フロント・バック両方使える | 中 |
| HTML/CSS | Webの見た目を作る。必須スキル | 低〜中 |
| PHP | WordPressなどCMS開発に多い | 中 |
| Java | 企業システム系。学習コストが高め | 高 |
就労移行支援の訓練期間(最大2年)を考えると、1〜2言語を実用レベルに近づけるのが現実的な目標です。
プログラミング以外のITスキル
- Webデザイン(Figma・Photoshop)
- データ分析(Excel・SQL・Tableau)
- インフラ・クラウド(AWS・GCP基礎)
- 資格取得(ITパスポート・基本情報技術者)
正直に言うと「2年で即戦力は難しい」
企業が求める「即戦力エンジニア」には、就職後も継続的に学ぶ意欲とある程度の実務経験が必要です。就労移行支援の2年間で「未経験をゼロにする」ことはできますが、「中堅エンジニアになる」ことは難しいです。
「完璧になってから就職」ではなく「基礎を固めて就職し、働きながら伸びる」という戦略が現実的です。
IT特化型事業所と一般型事業所の違い
IT特化型事業所
メリット
- プログラミング・Webデザインなど実践的スキルが学べる
- IT業界への就職支援実績がある
- 支援員にITバックグラウンドを持つ人がいることが多い
デメリット・注意点
- 多様な障がい特性への支援が薄い事業所もある
- 「働く体力づくり」「コミュニケーション訓練」が手薄なことがある
- 事業所によってカリキュラムの質にばらつきが大きい
一般型事業所
メリット
- ビジネスマナー・コミュニケーション・生活リズム等の基礎訓練が充実
- 多様な障がい特性に対応した支援ノウハウを持つ
デメリット・注意点
- プログラミング訓練はほぼ期待できない
- IT就職を目指す場合は自習が中心になる

プログラミング訓練がある事業所の選び方(3つのポイント)
ポイント1:「カリキュラムの中身」を具体的に聞く
見学・体験時に必ず聞いてほしいのが以下の3点です。
- 「週に何時間、プログラミング訓練がありますか?」
- 「どの言語を、どんな教材で学びますか?」
- 「過去1年でIT系に就職した人は何人いますか?どんな職種ですか?」
曖昧な回答や「ケースバイケースです」ばかりなら要注意です。具体的な数字と職種を答えられる事業所は信頼できます。
ポイント2:「就職実績」ではなく「職種・定着率」を確認する
「就職率90%以上」という数字は、コンビニのアルバイトへの就職も含まれます。
確認すべきは以下の2点です。
- IT・Webエンジニア・デザイナーへの就職実績数
- 就職後1〜2年の定着率
ポイント3:「支援員の専門性」を確認する
プログラミングを教えるなら、教える側にもIT知識が必要です。
- 支援員の中にITバックグラウンドを持つ人はいるか
- 外部講師を使っているなら、その講師の経歴は何か
- 「質問したときに技術的な答えが返ってくるか」を体験時に確かめる
プログラミングが学べるおすすめ就労移行支援3選【2026年版】
「IT特化型」と名乗る事業所の中でも、実際にプログラミングを体系的に学べる事業所は限られます。現場支援員として実態を把握している3事業所を正直に比較します。
| 事業所名 | 学べるスキル | 特徴 | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|
| Neuro Dive(ニューロダイブ) | Python・データサイエンス・AI | 大学院レベルの本格カリキュラム。発達障がい・精神障がい対応 | 本格的にAI・データ分析を学びたい方 |
| ミラトレ | Webデザイン・Excel・基礎IT | リクルートグループ運営。就職サポートが手厚い | IT基礎から丁寧に学びたい方 |
| リタリコワークス | Word・Excel・Webリテラシー | 全国展開。障がい特性への対応力が高い | まずITの基礎を固めたい方 |
各事業所の詳細な評判・口コミは以下の記事で詳しく解説しています。
未経験からIT就職した事例(Bさん・仮名・ASD傾向)
※本事例は、実際の体験をもとに一部再構成・フィクション化しています。個人が特定されないよう氏名・詳細は変更しています。
Bさんは20代後半、ASD傾向があり、前職は事務職でした。「人とのやり取りが多い仕事がつらい」「集中して作業できる環境で働きたい」という希望からIT転職を考えていましたが、プログラミング経験はゼロでした。
IT特化型事業所に入所し、最初の3ヶ月はHTML/CSSとPythonの基礎を並行して学習。Bさんの特性上、「マルチタスクより一点集中」の方が向いていると判断し、4ヶ月目以降はPythonに絞りました。
特に得意だったのがデータの整理・分析作業。業務自動化スクリプト集をGitHubで公開し、ポートフォリオとしました。就活では「コードを書く量が多く、一人で集中できる環境」という条件を軸に絞り込み、入所から約18ヶ月でデータエンジニアとして就職しました。
ASD傾向のある方は、ルールや論理が明確なプログラミングと相性がいい場合があります。一方で、チーム開発のコミュニケーションへの対処法は別途練習が必要でした。
よくある質問(FAQ)
Q: プログラミング経験がまったくなくても大丈夫ですか?
大丈夫です。ただし「完全初心者歓迎」の事業所かどうかは確認が必要です。見学時に「プログラミング経験ゼロでも対応していますか?」と明確に聞いてください。
Q: 就労移行支援に通いながら、独学・スクールと並行してもいいですか?
制度上は問題ありません。ただし疲労や体調管理には注意が必要です。過負荷にならないよう支援員と相談しながら進めることをお勧めします。
Q: IT就職後の給与水準はどのくらいですか?
未経験・障がい者採用枠のIT就職では、初年度の年収は200〜280万円台が多い印象です(東京・フルタイム目安)。テレワーク可の求人も増えており、通勤負荷を減らせる点はメリットです。
まとめ
就労移行支援でプログラミングを学ぶことは可能ですが、事業所選びが全てと言っても過言ではありません。
- 「プログラミング訓練あり」の文言だけで選ばない
- カリキュラムの具体的な中身・就職実績・支援員の専門性を確認する
- IT特化型でも「働く土台作り」の支援があるかを確認する
- おすすめはNeuro Dive・ミラトレ・リタリコワークスの3択から自分の目標に合わせて選ぶ


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